刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

運良く職業訓練に行く事は出来たのだが、正担がマジで痛い奴だった㊹

G工場の正担が今回の職業訓練から変わり、

当刑務所でもTOPレベルの卑しく痛い奴だ

った。仇名の由来は分からないが、懲役か

らは"ヒヒ"と呼ばれていた。ヒヒというヤ

バイ刑務官が存在しているのは何人かから

聞いていたので知っていた。G工場に配役

された懲役達も「ヒヒが正担になると分か

っていたら100%応募しなかった」と口を

揃えて言っていた。ヒヒがどう痛いか、ど

う卑しいかというと、ヤクザでいう親分と

子分の関係を強く求めてくることであった。

ヒヒは恐らくヤクザの世界に憧れている。

だがそんな度胸などある筈も無いので、刑務

官という職業を選択し、親分と子分という疑

似体験をすることにより悦に入っている。銀

3本線という全然大した階級でもないのに、

統括クラス並に偉そうな態度をしている。

G工場の懲役の中に、以前ヒヒが正担の工場

にいた者がいた。そいつの話しによると、

ヒヒが工場の担当から変わってからも、夕方

の余暇時間にわざわざホールに来ることがあ

ったという。見事なまでにヒヒから子分化さ

れたアホな何人かの懲役がわざわざ席を立ち

小走りでヒヒの元へ行き、「ご苦労様です」

とか言っていたみたいだ。ヒヒはそういった

アホな懲役を重宝して、班長や各種係へと抜

擢していく一方で、従順で無い者はほんのさ

さいな事で注意、指導、そして調査へと上げ

ていたらしい。そもそもここみたいな短期の

スーパーA級刑務所でそのやり方をするのが

間違っている。稼業人だらけのB級施設であ

ればそのやり方は効果があると思うのだが、

スーパーA級施設の懲役にはそのやり方は通

用しない。20代前半辺りの若い懲役達はヒ

ヒのアメとムチにより少しずつではあるが確

実に子分化されていき、全然笑えない面白く

ないジョークをヒヒが言えば嘘でも笑い、逆

にヒヒの機嫌が悪い時は機嫌とりをしていた

。俺はヒヒのやり方が気に食わなかったし、

幹部でもないのに偉そうな態度を取っている

のを見て馬鹿だなと軽蔑していたので、必要

以上の話しはしなかったし、当然機嫌を取る

ようなことはしなかった。それをヒヒは気に

喰わなかったのだろう。ある日、医務願箋で

「偏頭痛が最近酷いので、医者に見てもらい

たい」と書いて提出したところ、ヒヒから呼

ばれて、「お前、就寝時も薬飲んでいるのに

、まだ薬をもらう気でいるのか」と聞かれた

ので、「眠剤片頭痛は関係性がさほど無い

と思うので一度医者に見てもらいたいので」

と言うと、薬って税金から出てるって知って

んのか」と舐め腐った事を抜かしてきたので

、「そんなの知ってるに決まってるじゃない

ですか、正当な理由無く医者の診察を受けさ

せないということがで出来るのですか」と言

い返したら、「お前、そこに座れ」と言われ

、担当台の隣の椅子に座らされた。