刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

判決の日。求刑6年なので、4〜5年の判決だと考えていたが㉓

判決の日がやってきた。

妙に落ち着いている。

逮捕されてから今日の判決までを振り返ると

無罪主張で戦うべきだったという後悔だけが

残っている。今後二度と犯罪に手を染めはし

ないが、戦うということを辞めてはいけない

ということは胸に刻んでおかなければいけな

い。判決待ちの仮監で出会った人達は皆明る

く、判決ということを忘れ話しに夢中になっ

ていた。在日韓国人の◯◯はまだ27歳なの

に◯◯のイタリアンレストランオーナーだ。

10代の頃から目標を持ち、こつこつと夢に

向かった結果だと言っていた。年下ながら

尊敬に値する。素晴らしい。アウトサイダー

団体戦で優勝したチームのリーダーの〇〇

さんがいた。大阪拘置所から裁判の為に来た

らしい。逮捕されて2年以上が経つがまだ1

審も終わっていないと言っていた。アウトサ

イダーで前田の服をビリビリに破いた話しや

ペーパーカンパニーを作って、脱税、マネー

ロンダリングのやり方など興味深い話しをし

てくれた。そうこうしている間に自分の番が

回ってきた。皆から、「頑張って」や「行っ

てらっしゃい」という声をかけられた。

第1、2回の公判時にはスーツ姿で望んだが

判決は上下黒のジャージ姿で臨んだ。どんだ

け心証を良くする態度をとっても判決には影

響しない。そう思ったからこそジャージで臨

んだし、被告人席に座る姿勢ももたれかかる

様に座り悪かった。傍聴席の最前列の真ん中

で金髪の男がこちらを見ながら笑っている。

知り合いかなと思い注意深く見たが、全然知

らない奴だった。他人の不幸は甘い蜜という

言葉が脳裏をよぎった。恐らく俺の惨めな姿

を見て面白がっているのだろう。

裁判長の「被告人は前へ」という言葉で証言

台に立った。求刑6年だから、4〜5年と予

想していた。裁判長の「主文、被告人を懲役

4年と処す」という判決を聞いて胸の中でガ

ッツポーズをした。その後の理由については

右耳から入って左耳から流れていた。ただ、

「この手の事件の中では凶悪の部類に入る」

という言葉は流れることはなく耳に残った。

閉廷後、弁護士と面会した。弁護士は既に父

親と電話で話していた。父親は「良かった」

と言っていたことを伝えられた。1番安い刑

で収まったことは素直に嬉しかった。「N弁

護士のおかげです、有難うございました」と

言い頭を下げたら、N弁護士が「刑務所での

態度が良ければ仮釈放もあるので頑張って下

さい」と励ましの言葉をかけてくれた。N弁

護士との面会も終わり、仮監に戻る途中、

〇〇のアウトサイダーのリーダーが弁護士に

対して怒鳴り散らしてキレていた。公判が思

うようにすすまなかったのだろう。仮監に戻

ったら皆が「おかえり、どうだった?」と聞

いてきたので、「4年でした」と伝えると、

「良かったね、先が見えたから楽になるね」

と横浜の半グレの詐欺のリーダーが声をかけ

てくれた。