刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

選ばれし者が収容されるスーパーA級民間刑務所に移送される㉖

移送される刑務所が確定するまでは、作業時

間は単独室内で刑務作業を行わなければなら

ない。伊藤園お〜いお茶の袋を作る作業だ

った。無期囚と一緒になった次の日の運動か

らは、違うメンバーと4人で一緒に運動する

ことになった。その内の1人が、「刑務所の

単独室での暮らしは楽だというから早く決ま

って欲しい」と言ってたのが印象的だった。

淡々と紙作りを行っていた午後の作業中に刑

務官が来て、「明日移送が決まったから私物

の整理にこれから行くからな」と言われ収容

されている者の荷物が保管されている大きな

ホールへと連行された。俺の荷物をチェック

している2ブロックで真っ黒に日焼けした刑

務官から「刑期はどれ位なの」と笑いながら

聞かれた。操作しているパソコンに載ってい

ねえのかよと思いつつも「4年です」と答え

たら「ここの拘置所の中ではまあまあある方

かな」と言われた。「ふ〜んだから何、それ

がどうしたのと」思いつつも荷物の整理を続

けた。PC2台はヤマト便で実家に送る手配

をして、約1時間程度で終わった。単独室に

戻ったら刑務官から、「明日は全体の起床

チャイムが鳴る前に起こしにくるから、起き

たら静かに居室内の荷物の整理をして、出発

できる状態でいるように」と告げられた。

「どこの刑務所になるのですか」と確認の為

に聞いたら「それは明日伝えられる」と言わ

れた。逮捕されてから丁度半年、拘置所に移

送されてから約5ヶ月間で刑務所への移送。

他の受刑者に比べたら早い移送になるとは思

うが、感覚的には長いようで早い何とも言え

ない不思議な感覚だった。眠剤を飲んでいる

にも関わらず、よく眠れなかった。なので早

朝刑務官が起こしに呼びに来る前には起きて

いた。直ぐに準備を終えて、いつでも出発で

きる用意をしていたところ、単独室の扉が開

き、荷物が置いてある大ホールまでの長い廊

下を歩き一緒に移送される者達が来るまで、

ホール前の扉で待たされた。一緒に移送され

るのは6人だった。6人が揃ったところで大ホ

ールに入り、、自分の荷物を足元に置いてか

ら、テーブルに座って6人で朝食を食べた。

刑務官から、「刑務所までの連行担当者がま

だ到着していないからしばらく待機するよう

に」との周知があった。20〜30分くらい

待ったと思う。刑務所まで連行する刑務官と

マイクロバスが到着した。連行する刑務官は

3人いた。その中のトップが「これから◯◯

県の◯◯まで連行します。そこは刑務所とは

思えない程自由度が高いところです。自分た

ちは選ばれた人間だという自覚を持つように

して下さい」と言われた。それからワッパを

はめられて、ワッパに紐を通されて6人が繋

がれた。マイクロバスで◯◯駅まで行き、そ

こからは新幹線に乗っての移送になった。ト

ップの下になる部下のうちの1人が連行され

る受刑者と少し目が合っただけで、「合図す

るなコラァ」と怒鳴り散らしてくるのには腹

が立った。しかも新幹線内では通路側で口を

大きく開けていびきをかいて爆睡する始末。

ただでさえワッパにロープを繋がれて目立っ

ているにも関わらず、爆睡しているそのアホ

面のせいで更に目立ってしまっている。周囲

に座っていた人達が小声で「皆悪そうな顔し

ているよね」と言っていた。アホ面刑務官は

というと、起きては煙草を吸いに行き、戻っ

てきてからはアホ面全開で爆睡するという繰

り返しだった。そのアホ面刑務官は、自分が

4度目の懲罰を終えて配役された工場の担当

刑務官になろうとはその時知る由もなかった