刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

ついに始まった内定捜査④

日に日に身の周りに内定捜査のデコらしき

人物をよく見るようになった。

家から職場に向かう途中にコインパーキング

があるのだが、その敷地内の路上に片方の耳

にインカムをつけている者を見ることがあっ

た。「あっデコ(刑事)だ」と内心思い、

何食わぬ顔でそのデコらしき人物の顔を注視

していたら、あからさまに、とてもわざとら

しく顔を背けて逆方向に足早に去っていく。

刑事と犯罪者、追うものと追われる者が逆転

しているみたいで可笑しかった。

仕事が終わり、女友達と飯を食いに行く約束

をしていてカフェのテラス席で待ち合わせを

していた。2つ隣のテーブルにジーンズに

パーカー、ショルダーバックを着用した短髪

の男が一人座っている。コーヒーを飲みなが

らメールを打っているのか、携帯電話を操作

している。一見普通で怪しさなどは感じられ

ない様に見えるのだが、携帯電話がガラケー

なのが気になった。年もまだ30歳位に見え

るし、服装もラフなので、今時のその辺にい

る兄ちゃんかなと思うのだが、携帯電話が

ガラケーなのが気になる。向こうは別にこち

らを気にしている様には見受けられない。

約束の時間に女友達が来た。これから焼き豚

を食べに行く為に席を立ち目的地へ歩き始め

た。直進して右折したところで女友達に、

「携帯さっきの店に忘れたかも」と嘘を言い

立ち止まり、バッグの中を探しているふりを

した。そしたらそこへさっきのカフェのテラ

スで2つ隣に座っていたガラケーの兄ちゃん

が現れた。こちらを認めるなりぎこちない

動作でもと来た道をUターンしていった。

「やっぱりデコだったか」と思っただけでそ

れ以上でも以下でもなかった。