刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

警察署に着いて直ぐにポリグラフ(嘘発見器)をかけられた⑦

 

警察署内の取調室で財布やバッグ等の所持品

を預かられた。それから上の階へ連れて行か

れてポリグラフ嘘発見器)をかけられた。

右手の五指の先端に装着され、白衣を着た権

威から「これから5つの質問をするので、全

ていいえで答えて下さい」と言われた。部屋

のドアの前に若い捜査員が立って監視してい

る。以前、4代目山口組組長竹中正久親分の

半生を描いたVシネマ映画、「荒ぶる獅子」

を観たことがあった。そこでポリグラフをか

けられても反応しないテクニックを思い出し

た。

 

 

質問に対して決して「いいえ」とは声に出さ

ず、心の中では本当の事を唱えるのだ。時代

も違うし、ポリグラフの性能も格段に上がっ

ていると思うのだが、一応やってみることに

した。白衣が質問を投げかけてくる。いいえ

とは声に出さず、心の中では「そうそう、確

かに近くにゴミ捨て場があったな」といった

具合に本当の事を唱え続けた。すると確かに

反応しない。すると白衣から「ちゃんと、い

いえと声に出して答えて下さい、そうしない

と捜査協力拒否という形で処理しますよ」と

言われたので、「どうぞ、そうして下さい」

と伝えて終了した。それからまた1階下の取

り調べ室に連れて行かれた。パイプ椅子に腰

をおろして待つようにとさっきのポリグラフ

の際に監視していた若い捜査員から言われた

。若い捜査員が机を挟んだパイプ椅子に無言

で腰をかけた。言葉を交わすことはなく沈黙

状態が続いた。暫くすると、係長が取調室に

入ってきた。若い捜査員は機敏に立ち上がり

、横の壁側に背を向けて立つ。代わりに係長

が対面の椅子に腰掛ける。そして逮捕状をこ

ちらに見せながら、「逮捕状な。◯◯時◯◯

分逮捕するからな」と言われた後、ワッパ

(手錠)をかけられた。今回で3回目のワッ

パとなるので慣れてはいるのだが、今回は今

迄の恐喝や傷害の時にかけられたワッパの重

みとは全然違うものだった。正午から広告代

理店の仕事には行くつもりでいた。だが逮捕

された以上、行くことは出来ない。「会社の

方にパクったので行けない」と伝えて欲しい

と係長にお願いしたところ、すんなり了承し

てくれた。本部の事務所電話番号を伝え、パ

クったという事を伝えてもらった。正午から

の仕事の30分前には伝えられたので良かった

と少しだけ安心した気持ちに包まれた。それ

から留置所の方へ移された。仕事には行くつ

もりで、スーツしか持ってきていなかったの

で、官物(かんぶつ)のグレイの半袖シャツ

とこれまたグレイのズボンのジャージを貸与

してもらうことになった。留置所での生活の

心得を読まされた後、◯房へと収監されるこ

とになり、連行された。