チリ紙の不正使用という極めてダサイ反則事案で調査に上がったW㉝
これでWは完全に孤立して、四面楚歌の状態
になった。ホールですれ違ったりする度に、
自分も含めた何人かから、「潔く点検拒否し
て消えろ」と怒声を浴びせていたが、気付か
ないふりをしていた。NちゃんとUが去った
翌日の正月の昼頃、巡回している職員に気付
かず、チリ紙にMに向けてガテを書いていた
ところを見られて職員に連行されてC工場を
後にした。チリ紙の不正使用という極めてダ
サイ上がり方だったので拍子抜けした。もう
ちょっとやれるのかなと思っていたので、期
待を裏切られたみたいでガッカリした。でも
まあ所詮はスーパーA級刑務所なんてこんな
もんだろうと考えを改めた。10月頃に購入
した中村天風の「運命を拓く」が届いた。
拘置所では「心理の響き」に何度も助けられ
たので、他の本も読んでみたいと思ったので
購入した。「心理の響き」では、中村天風の
教えがコンパクトに書かれているのに対し、
「運命を拓く」では生い立ちからヨガの哲人
になるまでのストーリーも書かれており、改
めて超越した偉人だと深く感銘を受けた。
ペーパードラッグとでもいうのだろうか、
読み終わった後は高揚した。
C工場での3ヶ月間は足の引張合いだった。
でもこれが刑務所においてのスタンダートだ
とも思った。前回の半年間の職業訓練は例外
中の例外だった。