刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

またまたまたやっちゃった…3回目の調査と懲罰㊴

作業が終わり、夕食を食べ終わってから卓長

のところへ話しに行った。少し遅れてTも来

た。卓長Sが同じ卓のメンバーを呼んで集め

た。Sのグループは8人座れる卓を2つ占拠

していて1番大きくて若いグループだった。

裏番的存在のハーフ面だけ35歳で、残りは

20代前半の小僧ばかりだった。俺とTを誘

った理由は言わなかったが、この卓に加入す

るのであれば守って欲しい約束事があるとS

が切り出した。Sは卓長をしているので、他

の卓に行き、話しをする機会が多いみたいな

のだが、他の卓では卓内にいないメンバーの

悪口を言ったりするのをよく聞き、嫌悪感を

覚えると言っていた。そして、表面的な付き

合いじゃなくて、不満などがある時ははっき

りと言って話しあえる関係でいたいと付け足

した。正直、「若いなぁ」と内心思ったが、

そういう関係性は嫌いではないので入ること

にした。Tも俺が入るということで入ること

にしたみたいだった。罰明けで形成している

グループの年長者に訳を話し、「折角誘って

頂いたのに申し訳ないです」とお詫びを入れ

たら、「全然気にしなくていいよ」と言って

くれた。入ってみて直ぐに分かったのだが、

若い連中はハーフ面のOを嫌っていた。周り

から薬を貰うだけで返しの一つもない。年齢

もOが若い連中よりも一回りも上なのでどう

しても上からものをいう口調になる。

なのでOの周りには職業訓練の時に自爆テロ

を起こしたNちゃんや、新入が3人で8卓に

座り、もう1つの8卓は満席という状態だっ

たので自然とO側の卓に座る事になった。

Oは明るくてノリの良い面白い人ではあるの

だが、ジャンキーで薬でキマっている時はど

うでも良い武勇伝を語り出す時があった。

20代の若い頃、東京で闇金をしていた時に

新宿のクラブでK・Rのメンバーと揉めて殴

り合ったが、周りが止めに入った後は掛け合

いでK・Rのメンバーと和解し、お互いに認

め合い、腕をクロスさせた状態でぶっ潰れる

迄ショットで飲んだとか言っていた。靴下、

パンツ、シャツなどオール官物で、書籍も買

わなければ差し入れ1つない。そういう面で

判断するのは間違いかもしれないが、全然説

得力が無かった。俺はそういう話しを聞いて

も「凄いですね」と言った様ないわゆるヨイ

ショはしない。それが気に食わなかったのか

、ある時はどうでも良い武勇伝を語った後に

、「俺の方がダブルビよりヤクザやアウトロ

ーの世界を深く知っているから」と意味不明

なことを抜かしてくる始末。そんな過去の色

んな意味で終わった話しをするよりも、将来

の話し、出所してからの話しをしたかったの

で自然とTと話す機会が増えていき、シノギ

の話しなど互いの手の平を見せ合う迄話し合

える仲にまでなっていた。E工場の立ち作業

も慣れて、正担が醸し出すゆる〜い雰囲気に

も馴れてどんどんと過ごし易くなっていた。

作業が終わり、居室に戻り、正担と巡回担当

がホールからいなくなったのを確認してから

後頭部から耳の裏辺りを洗っていたら、ガッ

チャンとドアが開く音がした。そこには正担

と巡回がいて、正担から「何しとるんや」と

聞かれたので「耳の裏辺りを洗っていただけ

ですよ」と言ったら、近付いてきて後頭部を

触られ、「濡れとるやないか」と言い、電話

を取り出し、上に報告している様だった。

そこにのび太に似ている主任が来て、処遇調

べ室へ連行され、「不正洗髪の違反事項で調

査に処する」と言われ閉鎖ユニットへと連行

された。約1ヶ月ぶりに戻ってきた。

完全に上がり癖がついてしまっていた。