刑務所獄中記【人の不幸は甘い蜜】刑事施設拘束1530日

自分よりも不幸で不運な人がいることを知ることで、悩んでいる人や迷っている人に少しでも元気を与えることが出来れば良いなと思います

懲役あるある、呆れる程ガキ臭い新入イジメ㉚

体育館で職業訓練の入退出が終わった後C

工場へと移動した。資格試験などなく、ハイ

スペックなPCを使っての動画編集の職業訓

練となるので、20〜30代の比較的若い懲

役がほとんどだった。Wという35歳の懲役

が、22〜25歳の若い懲役3人と徒党を組

んで弱い者イジメをする様になった。理由は

食事中に新入が咳をしたにも関わらず、

「すいませんでした」と言わなかったという

非常に幼稚でくだらないものだ。W一派の者

からそのことを指摘されて、その新入は皆に

謝罪に回った。確かに皆が気を付けているこ

となので、その新入に懲役ルールというもの

を教えたと捉えていたのだが、次は、「注意

指導をしてあげたにも関わらず、謝罪の挨拶

がないという理由で、礼儀を知らなすぎてむ

かつくので作業拒否をして上がれ」と脅迫し

てきた。なので、そんなことする必要ないか

らシカトしとけというのが自分も含め他の大

半の懲役の意見だった。その一連の出来事を

誰かが正担にチンコロしたので、それから作

業が終わってからなどの隙間時間に正担が、

「勝手にルールを作り上げて好き勝手やっと

る奴らがおるみたいだけど、いつまでもそん

な事が通じると思うなよ、次そういう事をや

ったら上げる(調査・懲罰)からな」と周知

するようになった。馬鹿げているが刑務官に

対して受刑者の悪事をチンコロ(ちくる事)

することは懲役の間でタブーとされている。

なので、誰がチンコロをしたのかという犯人

探しがW一派の間で始まった。だが筋が通っ

ていないのはW達なので協力するものは皆無

だった。ある日風呂上がってから新入のスリ

ッパが紛失していることがあった。刑務官が

何人も来て探し回ったが見つからない。新入

はとても困惑した表情をしていた。懲役の間

でも刑務官の間でもW一派の仕業だというの

は分かっていたが証拠がない。被害者は新入

の筈なのに、その日のうちに新入は調査に上

げられた。W一派達は目線を合わせて爆笑を

堪えていた。それを見て、「このドチンピラ

が」という怒りが沸々と湧いてきた。翌日の

作業終わり主任が、「昨日スリッパが紛失し

た件で、誰がやったのかも分からない状態で

ホールを開放することは出来ないので、今日

からホール制限をかける」と言った後に、

「後から見つかるのと、自分から認めるので

は懲罰も大きく変わってくるので、やった奴

は名乗り出て来るように」と言い足した。

こういうことが起こると必ず「自分から名乗

り出てくるように」と言うが、名乗り出てく

る奴なんて絶対にいない。ホール制限がかか

ると作業終了後の余暇時間にテーブルで話し

をすることができない。ホールで出来るのは

備え付けの新聞を読むことくらいだ。あとは

居室内で本を読んだりして過ごすしかなくな

る。それはストレスへと変わり、その矛先は

W一派へと向けられることになる。